清掃業30年現場論シリーズ

「クセが強い人」ともうまくいく。30年現場を率いた私の、受け止め方と突き放し方

  1. HOME >
  2. 清掃業30年現場論シリーズ >

「クセが強い人」ともうまくいく。30年現場を率いた私の、受け止め方と突き放し方

「最近の若い人はすぐ辞める」「いい人が入ってこない」 そんな声をよく耳にしますが、清掃業界に身を置いて30年、私がたどり着いた答えはシンプルです。

「いい人が集まるかどうかは、現場の“空気”で決まる」 ということです。

求人票の条件以上に、人は「ここなら自分の居場所がある」と感じる場所に定着します。30年間試行錯誤して作り上げてきた、当社の「現場の空気」の作り方をご紹介します。

当社の人間関係を一言で表すと、**「薄くも濃くもない関係」**です。

ベタベタと仲が良いわけではない。かといって、名前も知らないような冷淡な関係でもない。 「仕事が終わればサッと帰るけれど、現場で困ったときには一番に顔が浮かぶ」 そんな心地よい距離感を大切にしています。

この「ちょうど良さ」が、長く働き続けられる秘訣だと確信しています。

2. 「対等」ではないが「壁」もない

誤解を恐れずに言えば、私たちは「完全に対等」ではありません。 技術の伝承や現場の責任という面では、明確なキャリアの差があります。しかし、「心の壁」はない。

  • ミスをしたときに隠さず言えるか
  • 「もっとこうしたい」という提案ができるか

上司やベテランが「偉そうにふんぞり返る」のではなく、「いつでも話を聞く準備ができている」という姿勢を見せること。この「相談しやすさ」こそが、現場の事故を防ぎ、サービスの質を高める土壌になります。

3. パートナー業者さんも「同じチームの仲間」

この空気感は、自社の従業員だけに留まりません。一緒に現場を支えてくれるパートナー業者さんも、私たちにとっては大切な「身内」です。

発注側・受注側という上下意識を捨て、同じ目標を持つプロフェッショナルとして接する。 「あの現場に行くと、いつも気持ちよく仕事ができる」 そう言っていただける関係性を築くことで、質の高い仕事が集まり、結果としていい従業員が育つ好循環が生まれます。


大切なのは、言葉より「背中」で見せること

清掃の仕事は、嘘をつけません。手を抜けば汚れが残り、心を込めれば空間が輝きます。

「いい空気」も同じです。 経営者やリーダーが誰に対しても分け隔てなく接し、誠実に現場に向き合う。その積み重ねが、何物にも代えがたい「現場の空気」を作ります。

30年経った今も、私は現場が大好きです。 この空気の中で、新しい仲間や信頼できるパートナーと共に汗を流せることを、誇りに思っています。

1. 「それはあの人のクセ(個性)」と割り切る

雰囲気を悪くする発言があっても、それを真っ向から否定してぶつかることはしません。「あぁ、今あの人の『クセ(性格)』が出ているな」と、みんなでそっと受け止める。 感情的に反応するのではなく、一つの現象として客観的に捉えるようにしています。

2. あえて「静かな距離」を置く

空気が悪い時は、無理に明るく振る舞ったり、無駄な話をしたりしません。 いったん距離を置き、淡々と、静かに仕事に集中する。 言葉を重ねるよりも、「仕事の手を止めないこと」で、現場がバラバラになるのを防ぐのです。

3. 「嵐」が過ぎるのを待てる関係

一時の感情でその人を排除するのではなく、少し距離を置いて、またフラットに話せる時を待つ。 この「逃げ道」がある関係性こそが、実は一番強い組織の繋がりだったりします。

「完璧な人間なんていない。だから、調子が悪い時はお互い様」 そんな諦めにも似た寛容さが、長く続くチームを作る秘訣かもしれません。

清掃業を30年続けてきて確信しているのは、「いい現場」とは、ただ仲が良い場所ではなく、お互いの「人間らしさ」を許容できる場所だということです。

  • 上下関係の「黄金比」を守る ベタベタしすぎず、かといって冷たくない。プロとしての境界線を保ちつつ、困ったときには真っ先に「助けて」と言える風通しの良さを維持すること。
  • 「負」の感情も、一つの個性として受け流す 現場で文句が出るのはお互い様。そんな時は相手を変えようとせず「これがこの人のクセだ」と一歩引いて受け止める。無理に無駄話はせず、淡々と仕事に向き合う「静かな距離」が、チームを守るクッションになります。
  • 最後の一線は「毅然とした態度」で守る 普段から相談しやすい関係を築いているからこそ、現場の秩序を乱す理不尽な振る舞いには、最終手段として「逆ギレしてでも怒鳴る」。これが実は、現場の空気を引き締める有効な手段になります。なあなあにせず、ダメなものはダメだと本気でぶつかる強さがあってこそ、信頼関係は本物になります。
  • パートナーも含めた「一つのチーム」 従業員も業者さんも、同じ現場を支える対等なプロ。相手を尊重しつつ、甘えは許さない。このバランスこそが「ここで働きたい」という人を引き寄せます。

きれいな空間を作る仕事だからこそ、まずは自分たちの「心の置き所」を整えること。 寛容さと厳しさを併せ持ち、互いのクセを認め合いながら、今日も現場を磨き上げます。

-清掃業30年現場論シリーズ